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鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
JSME International Journal, Series A, 47(3), p.479 - 485, 2004/07
原子炉圧力容器の構造健全性評価では、シャルピー衝撃試験から得られる延性脆性遷移温度の中性子照射によるシフトが、破壊靭性のシフトと等しいと仮定している。このため、破壊靭性とシャルピー遷移温度との相関を確立する必要がある。本研究では、6種類の原子炉圧力容器用のASTM A533B-1鋼及び溶接金属について、ASTM規格に導入されたマスターカーブ法を適用して破壊靭性を評価した。中性子照射試験は、JMTRにおいて、予き裂シャルピー破壊靱性試験片及び標準シャルピー衝撃試験片に対して実施した。マスターカーブ法に基づく破壊靭性参照温度とシャルピー遷移温度に対する中性子照射効果を評価した。試験片寸法効果に関して、シャルピー型試験片と大型試験片との比較も行った。破壊靭性参照温度の中性子照射によるシフトとシャルピー衝撃試験の遷移温度シフトとの相関を確立するとともに、照射後の最適な破壊靭性試験温度及び下限破壊靭性の評価に関する検討を行った。
鬼沢 邦雄; 鈴木 雅秀
ISIJ International, 37(8), p.821 - 828, 1997/08
被引用回数:3 パーセンタイル:35.47(Metallurgy & Metallurgical Engineering)原子炉圧力容器鋼材の照射脆化に関して、各種機械的特性の変化の相関を調べた。照射脆化に影響する鋼材中の鋼、燐及びニッケル量を変化させた7種類の鋼材を利用し、JMTRで中性子照射を行った。本鋼材は、IAEA鋼材照射協力研究用に国内鋼材メーカーが製造したものであり、国内PWR圧力容器鋼の化学成分範囲を包含するように選択した。室温での降伏強さの増加を指標とした場合、ビッカース硬さの増加及びシャルピー遷移温度のシフトには良い相関が認められた。上部棚温度領域では、延性破壊靱性の低下と降伏強さの増加に良い相関が認められ、一方でシャルピー上部棚吸収エネルギにはあまり良い相関が認められなかった。延性脆性遷移温度域での破壊靱性値は、ばらつきが大きいため、統計処理を含む最適な評価方法の確立が必要である。
鈴木 忍; 池島 義昭; 河野 政勝; 渡邊 浩之; 佐藤 均; 田中 勲
JAERI-M 90-196, 45 Pages, 1990/11
OWL-2は、我が国最大規模のインパイル・ループとして1972年2月JMTRに設置されて以来、各種の動力炉用燃料・材料試料の照射試験及び炉工学的試験に使用されてきたが、所期の目的を達成したため廃止する計画である。廃止後には、JMTR改造計画の一環として核融合炉用増殖ブランケットの試験研究を進めて行くうえで必要な新ループの設置を予定している。本報告は、インパイル・ループの設計上考慮した点を中心に、廃止計画に至るまでの経緯と照射試験、タービン型流量計の開発、炉内管構造材のサーベイランステストの結果及び炉内管に発生したTGSCCとその防止対策などについてまとめたものである。
清水 正亜; 伊藤 昇
JAERI-M 6667, 33 Pages, 1976/08
本報告書ではOWL-2炉内管のJMTRにおけるサーベランステスト結果とこれに基づいたOWL-2炉内管の使用寿命の検討結果について述べた。本サーベランステストでの最大速中性子照射量(1MeV)以上は3.410n/cmまで得られ、照射量の増加と共に炉内管材(SUS-316)の引張強度は増大し、伸びは減少した。しかし伸びの減少は照射量110~3.410n/cmの範囲ではわずかであり、しかも最大照射量3.410n/cmにおいても、OWL-2の最高使用温度285Cにおいて33%も残存していることが判明した。この伸び量は金属学的所見、OWL-2の使用条件等からみて余裕のある値であり、OWL-2炉内管は十分な安全性を確保して速中性子照射量3.410n/cmまで使用可能であるとの結論を得た。